12月1日は世界エイズデー
福岡市では、12月1日の世界エイズデーに合わせて、無料・匿名の休日特例エイズ検査を2箇所で実施します。
12月4日(日)
- 会場/中央保健所
- 場所/あいれふ5F
- 時間/14:00〜15:00
- 検査項目/HIV即日検査
- 予約/予約不要、先着50名
保健所からのお願い
保健所では新型コロナ感染症などの感染症への予防対策を可能な限り実施していますが、検査を受ける方もマスク着用、手の消毒、咳エチケット等のご協力をお願いします。
体調が優れない方や、発熱、咳などの症状がある方は、体調の良い日に検査をお願いします。
感染拡大防止にご協力いただけない方は、検査をお断りしますので、ご理解とご協力をお願いします。
検査の流れ
1.受付
予約が必要な場合には、事前に予約。
受付で予約番号を伝えると、当日の検査番号と問診票を手渡されるので、待っている間に記入しましょう。
予約不要の場合は、HIVの検査を受けに来たことを伝えて、当日の検査番号と問診票を受け取ったら、待っている間に記入しましょう。
2.ガイダンス
番号を呼ばれたら、まずはガイダンスです。 検査の内容や目的を説明してくれます。
せっかくの機会なので、不安に思っていることや分からないことなど、何でも質問してみましょう。
もちろん、ゲイであることなど、言う必要はありません。
3.いよいよ採血!
5CCほど採血します。
4.結果説明
通常検査の場合は、この日はこれで終了。検査結果は1〜2週間後になります。忘れずに必ず確認しましょう!
即日検査の場合は約1時間ほどで結果が分かるので、必ず待って結果を確認しましょう!
HIV検査の結果は?
ウインドウ・ピリオド
HIVや梅毒は、感染して間もない頃は、ウイルスの数や抗体の数が少なく、検査で検出されずに陰性と判定される場合があります。
正確な結果を得るためには、感染したかもしれないと思った時期から約3ヶ月以降がオススメです。
陰性
2〜3ヶ月前まではHIVに感染していなかったという結果です。その後に感染機会があれば、感染しているかもしれません。
また、これまでのセックスのやり方でOKということでもありません。もしかしたら感染しなかったのは運が良かっただけかもしれません。
要再検査
即日検査は感染の可能性の有無を調べる簡易検査なので、感染の疑いがある場合には要再検査と判定されることがあります。
再検査が必要な検体は自動的に確認検査に送られ、詳しく調べて判定します。
判定結果は必ず確認しましょう!
陽性
HIVに感染しているということです。
ショックを受ける方もいると思いますが、検査で感染が分かったということは、エイズにならずに済んだということです。
エイズを発症して初めて感染が分かり、手遅れになって亡くなる人もいますので、命拾いしたとも言えます。
HIV感染症の治療はとても進歩しています。きちんと治療を受ければ、HIVの活動を封じ込め、他人に感染させる心配もなく、秘密も守りつつ、仕事も学校もこれまで通りの生活を送ることができます。もちろん、恋愛やセックスを諦める必要もありません!
HIV ⁄ AIDSのミニ知識
HIVとAIDS
HIVとAIDSを混同している人がいます。
HIVは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)といって、ヒトの体をさまざまな細菌、カビやウイルスなどの病原体から守る免疫の中心的な働きをするヘルパーTリンパ球(CD4細胞)という白血球などに感染するウイルスです。
AIDS(後天性免疫不全症候群)は、HIVによって引き起こされた病気の状態を指します。
HIVの感染すると細胞の中でHIVが増殖し、免疫力が徐々に落ちていき、健康な状態なら感染しない病原体にも抵抗できなくなり、さまざまな病気(日和見感染症)を発症します。これらの病気のうち、指標となる23種類のどれかを発症すると、AIDS発症と診断されます。
感染経路は?
HIVに感染すると、HIVは血液、精液、腟分泌液、母乳などに多く分泌されます。
逆に、唾液、涙、汗、尿などの体液には、他の人に感染させるほどのウイルスは分泌されません。
感染は、粘膜や出血のある傷口からおこり、傷のない皮膚からは感染しないので日常生活で感染することはありません。
そのため、主な感染経路は性的感染、血液感染、母子感染の3つです。
性的感染
3つの感染経路のうち、現在そのほとんどが性的感染です。
男性同士のアナルセックスのウケ側の場合、直腸粘膜は単層で傷つきやすいため、射精された精液中のHIVが直腸の粘膜から侵入することで感染が起こりやすくなります。
挿入する側も、性交によって生じる亀頭部分(粘膜)の細かい傷や尿道口(粘膜)から精液、腟分泌液に含まれるHIVが侵入することで感染します。
また、口で精液を受けた場合も、口腔内に歯槽膿漏や歯肉炎など出血を伴う傷口があると、感染のリスクが高まります。
女性も膣粘膜から感染するリスクがあります。
血液感染
麻薬や覚醒剤を注射器・注射針を共用して回し打ちすることで、感染した人の血中のHIVが直接血管中に侵入し、感染が起こりやすくなります。
輸血でも感染が起こりますが、現在、日本赤十字社ではすべての献血血液に対し、非常に厳格な検査を行っているので、感染のリスクはほとんどありません。
ただし、HIV検査目的での献血は、絶対に行ってはいけません。また、HIV検査結果は献血者に伝えることも行っていません。
医療現場での針刺し事故などでの感染リスクもありますが、2時間以内に抗HIV薬の予防内服を行うことで、感染のリスクを低下させることができます。また、2000年以降、医療現場での暴露事故によるHIV感染は発生していません。
母子感染
胎内感染、出産時の産道感染、母乳での感染があげられますが、妊娠中の抗HIV療法や帝王切開での出産、人工乳哺育などの対応により、現在では母子感染率を0.5%未満まで低下させることができるようになりました。
HIVに感染すると?
HIVに感染すると、大きく分けて3段階の経過をたどります。
- 感染初期(急性期)
- 無症候期
- AIDS発症期
感染初期
HIVはヒトの体内でCD4Tリンパ球などに感染し、急激に増殖します。
そのため、発熱、頭痛、のどの腫れ、リンパの腫れなどインフルエンザのような症状が出ることがありますが、ヒトの免疫反応によって数週間で治まります。
ここで風邪が治ったと思ってしまう人も少なくありません。
無症候期
初期症状が治まると無症候期に入ります。
この期間はその名前の通りまったく自覚症状がないので、検査をしない限り自分でHIVの感染を知る方法はありません。
しかし、全く症状はなくても、体内ではHIVは毎日100億個ほど増殖を続け、CD4Tリンパ球は次々とHIVに感染し、平均2.2日で死滅していきます。
無症候期は数年から10年以上続く人もいますが、最近では感染して短期間のうちにAIDSを発症する人が増えてきているようです。
この期間は、自分の感染に気づかずに他の人へHIVをうつしてしまう恐れがあるので、感染リスクの心当たりがある人は、ぜひ検査を受けましょう。
エイズ発症期
免疫細胞は無症候期の間にも徐々に減って行きます。
健康な人であれば1μlの血中に700〜1500個あるCD4Tリンパ球が200個を下回るようになると、免疫不全状態となり、健康な人ならかかることのない様々な病気(日和見感染症)にかかりやすくなり、AIDS発症となります。
この状態を治療せずに放置すると、AIDS脳症など命に関わるような重篤な病気に進行します。
予防するには?
HIVは血液、精液、腟分泌液などに多く分泌されるので、これらの体液が粘膜や傷口に触れないようにすることで予防できます。
セーファーセックス
特に新規感染の大部分を占める性的感染については、正しくコンドームを使ったセーファーセックスによって感染を防ぐことができます。
コンドームの正しい装着方
- コンドームは中身を端に寄せて封を切る。
- 切れ端は残さずに全部切り取る。
- 爪やササクレでコンドームを傷つけないように取り出す。
- 裏表をちゃんと確認。
- 精液溜まりをつまんで空気を抜く。
- ペニスの皮を根本に集める。
- 毛を巻き込まないように巻き下ろす。
- 皮ごとコンドームを先端にスライド。
- 伸びた皮の部分を根本まで巻き下ろす。
- 射精したら精液がこぼれないように抜く。
- 終わったコンドームは、精液がこぼれないように縛ってゴミ箱へ。
PrEP(プレップ)
PrEP(プレップ)とは、セックスの前に抗HIV薬を服用することでHIV感染を防ぐ方法です。
海外でPrEPを実施している国も多いのですが、現在、日本ではPrEP薬は未承認薬なので、東京の国立国際医療研究センター病院で治験を行っている状態です。
最近では海外のサイトからジェネリック薬を個人輸入して自己判断で始めている人が増えていますが、様々なリスクがあるため、開始前や開始後に医師による定期的な検査が必要です。
また、PrEPを宣伝しているクリニックも多くありますが、予防医療は保険適用外なので実費負担になり、PrEP薬は国内未承認薬なので副作用などの問題が発生した場合には自己責任となります。
自己判断でのPrEPのリスク
- すでにHIVに感染していた場合には、HIV感染の治療には機能が不足しているために薬剤耐性を持ってしまう恐れがある
- 副作用で腎機能が低下する場合がある
- B型肝炎の既往があると、再活性化する恐れがある
- 他に服薬が必要な病気を持っている場合にはPrEP薬との飲み合わせに問題がある場合がある
- 海外サイトで購入したPrEP薬が偽物である場合もある
そのため、PrEPを始めるには条件があります。
PrEPを始める際の条件
- 成人である
- 確実にHIVに感染していない
- 腎臓の機能に異常がない
- B型肝炎に感染したことがない
- 開始後、3ヶ月毎の医師による定期検診を受けること
PrEPはHIVの感染予防にのみ有効であるため、他の性感染症の予防はできません。継続的なセーファーセックスは必要です。
コンドーム無しのセックスができるようになる訳ではありません。
HIV感染の治療は?
現在、HIVを体内から完全に排除できる治療法はありませんが、AIDS発症を回避し、これまで通りの生活を送り、HIVを持っていない人と変わらないような寿命が期待できます。
HIV感染が判明した場合、特別の知識と配慮が必要なため、HIV ⁄ AIDS診療に特化した拠点病院で治療を行います。
HIV感染の治療法は?
HIVの活動や増殖を防ぐ抗レトロウイルス療法(ART)を行います。
治療の内容は、毎日決まった時間に薬を飲むだけです。
ただし、病院での検査でCD4Tリンパ球数が多い場合には、服薬がすぐに開始にならない場合があります。
もちろん隔離や入院の必要は、まったくありません!
U=U
これまでの多くの研究によって、治療によってウイルス量が検出限界未満(200copy ⁄ mL)の状態を半年以上コントロールできたHIV陽性者からは、他の人に性行為で感染することは一切ないということが証明されました。
このことから、U(Undetectable:検出限界地未満)=(イコール)U(Untransmittable:感染しない)というメッセージが生まれ、現在では国連合同エイズ計画(UNAIDS)や国際AIDS学会など、約100カ国、約900の団体が支持しています。
治療費は?
現在でもHIV感染症の治療薬は非常に高価で、国民健康保険を利用した3割負担でも1ヶ月あたり5〜8万円ほどかかります。
そこで、「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能障害(以下、免疫機能障害)」として身体障害認定を受け、身体障害者手帳を取得後、自立支援医療という助成制度を利用することで、抗HIV治療にかかる医療費の負担額を、前年度の収入に応じて0円〜2万円に抑えることができるようになります。
梅毒ミニ知識
感染者急増中!
現在、全国的に梅毒の感染者が増加しています。
国立感染症研究所によると、今年(令和4年)9月4日までに報告された梅毒患者は8,155人で、これまで最多だった昨年を上回り、年間1万人を超えるペースで増えています。
福岡県の報告によると、1週間ごとの累積感染者数は昨年の令和3年の1.5倍も増えています。
梅毒は、治療によって完治していても、抗体は再感染を防げるほどの強さを持たないため、感染機会があれば何度でも感染します。
また、HIVとの重複感染も多く見られ、梅毒検査からHIV感染が分かった方も少なくありません。
どんな病気?
梅毒トレポネーマという病原菌が、性的な接触によって感染し、感染後の経過期間によって様々な症状が現れます。
第1期:感染後約3週間
感染が起きた部位(性器、肛門、口など)にしこりができることがあります。
また、股の付け根のリンパ節が腫れることもあります。
これらの症状は、治療をしなくても自然に消えますが、病原体がなくなった訳ではありません。
第2期:感染後数ヶ月
治療をせずに放置していると、病原体は血液によって全身に運ばれ、手のひらや足の裏、または全身にバラ疹と呼ばれる赤い発疹が現れます。
この症状も、数週間以内に自然に消えてしまいます。また、再発を繰り返すこともあります。
もちろん、梅毒が治った訳ではありません。
症状が似ているため、アレルギーや風疹、麻疹などと間違えられやすいので、梅毒感染の心当たりがあれば検査を受けましょう。
晩期顕性梅毒:感染後数年
治療をせずに放置した場合、感染後数年で皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生することがあります。
また、心臓や血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、場合によっては死に至ることもあります。
感染経路は?
感染部位と粘膜や皮膚の直接接触によって感染が起こります。
具体的には、性器と性器、アナルセックス、フェラチオ、オーラルセックスなどの性行為で感染します。
予防するには?
感染部位と粘膜や皮膚との接触を避け、コンドームの使用がオススメです。
ただし、コンドームで覆われていない部分の皮膚などでも感染が起こる可能性があるので、HIVのように完璧な予防はできません。
もし、皮膚や粘膜の異常など気になる症状がある場合には性的な接触は避け、早めに医療機関などに相談しましょう。
梅毒の治療は?
一般的には外来で、処方された抗菌薬を服用する治療を行います。
治療期間は症状によって異なるため、医師の判断に従いましょう。
病変の部位や症状によっては、入院が必要な場合があります。
症状が消えたからといって、自己判断で服薬を中止することは危険です。症状が消えても治っている訳ではないので、医師が治療終了の診断が出るまでは、処方通りの服薬が必要です。
性行為も、医師が安全だと判断するまでは控えましょう。
検査のタイミングは?
第1期の最初の数週間は、抗体検査をしても抗体数が十分ではなく、陰性と判定される場合があります。
確実な結果を得るためには、感染リスクがあったと思われる時期から3週間後以降の検査がオススメです。
また、パートナーなど周囲で感染の可能性がある人がいる場合には、一緒に検査を受け、必要に応じて一緒に治療を行うことが重要です。