「わたしとHIV in 福岡」

vol.4「守りたいもの」by ムック

感染がわかって変わったこと、それは、私を「守ってくれるもの」が増えたこと。

薬はもちろん、受診のたびに丁寧に話を聞いてくれる医師や薬剤師。 秘密を共有したことで、かえって深くつながることができた友人たち。 同じような経験を持って心強いNGOのスタッフ。

そして、私の一番の味方であるパートナー。 何も特別なことをしなくても、ただそばにいてくれる人がいるだけで、救われる日がある。 守ってくれるものは、関係の中で育つ安心感でもある。

私は一人じゃない。

不安や孤独になりそうなときでも、誰かの言葉や思いが、私を支えてくれる。 制度やサポートを受けることで、生活も安定してきた。 日々色々あっても、安心して暮らせている。

最近、自分を守ることも考えるようになった。 HIVの定期検査は健診を丸ごと受けているようで、実際に今回腎炎が見つかった。 身体のこと、生活のこと、周りのこと。改めて一度立ち止まって考えるきっかけになった。

でも、その中で「生きてるから考えていいんだな」と、納得のいく治療選択をきちんと行うことができた。 少しの間、入院は必要だけど、楽しい生活や人生を送りたい。

そう思ったら、病気があって、依存的だった自分がどこか小さくなった。

今まで生きるために自分を壊すことが必要だった自分から、「いい男になりたい」と考えるようになった。 可愛くいたいし、余裕のある大人になりたい。 自分を壊さずに、壊れずに、魅力的でありたい。

そのために、運動や食事にもちょっとずつ自然に意識が行くようになった。

そして、いつかは。
私も、誰かにとっての「守れる存在」になりたい。

生きていていい。そう思えるようになった。

ムック:HIV陽性者・30代・男性・ゲイ・会社員


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