HIV/AIDSの歴史
1983年

ウイルス発見と混乱

1983年

1月1日

海外での出来事研究・医療関連のアイコン初のAIDS専用外来診療所を開設

カリフォルニア大学サンフランシスコ校と提携し、サンフランシスコ総合病院に世界初のAIDS専門外来クリニック「86病棟(Ward86)」が開設された。1983年6月には、入院用AIDS病棟5Bが開設される。

AIDS治療のパイオニアであるポール・ボルベルディング博士、ドナルド・エイブラムス博士、コンスタンス・ウォフシー博士によって設立されたこのクリニックは、AIDS患者の治療に情熱を傾けるスタッフが集った。

思いやりと敬意をもって患者に接すること」「1つの施設でさまざまな医療・福祉サービスを提供すること」「地域の保健所やコミュニティ組織と密接に連携すること」を重視し、医療だけではなく快適にすること、AIDSとともに生きるためのさまざまな課題に対処するために必要なリソースを提供すること、厳しい社会的スティグマに直面している患者が尊厳をもって生き、最後を迎えることを可能にすることに焦点を当てた全人的アプローチの「サンフランシスコ・モデル・オブ・ケア」を開発。

この思いやりのあるモデルは、AIDS患者の治療における卓越した基準を定め、世界中の医療関係者に採用された。

今後このクリニックでは、年間数千人の患者を診ることになった。

参考・引用

1月4日

海外での出来事研究・医療関連のアイコン国や政府の対応(海外)市民運動など民間の動き企業の動き薬害エイズ関連セクシュアルマイノリティ関連米国疾病管理予防センター(CDC)、国の血液供給をAIDSから守るための公開会議を開催したが決裂

米国疾病管理予防センター(CDC)の働きかけにより、保健省の公衆衛生局(PHS)次官補のエドワード・ブラント・ジュニア博士は、CDCのジェフリー・コプラン博士を委員長とする、国の血液供給をAIDSから守るための公開会議をアトランタで開催した。

この会議には、米国赤十字社(ARC:American Red Cross)、米国血液銀行協会(AABB:American Association of Blood Banks)、全米血友病財団(NHF:National Hemophilia Foundation)、全米ゲイタスクフォース、製薬会社協会、地域血液センター協議会、州・準州疫学者、国立衛生研究所(NIH:National Institute of Health)、食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)などのグループの他、この問題に関心を持つ患者、医師、メディアなど関連する主要な団体や個人、約200人が集まった。

会議でドン・フランシス博士などのCDCの科学者たちは、血液銀行に対し、ドナーにリスク行動を質問し、献血を一連の検査にかけるなど、ドナーのスクリーニングを実施するよう要請したが、AIDSは潜伏期間が長く、その実態もまだ解明されていなかったため、出席者全員が、この集団における高い疾病発生率を過小評価していた。

CDCは、これまでのデータを共有し、高リスクのグループをドナー・プールから除外、もしくは代替検査によるリスクの軽減を目論んでいたが、各グループは1982年7月27日のワシントンでの会議で述べたのと同じような懐疑的な理由だけではなく、CDCのデータは不十分である、表現が過剰だなどとCDCを非難した。

血液銀行各社は、「輸血は命を救う行為であり、命を救うためには多少の副作用は許容される」、「たった8人の血友病患者と1人の輸血患者が罹患しただけの稀な疾患が、血液政策の変更を強いることはないはずだ」と、強硬に反対。CDCの証拠はHIVが血液を媒介する病気であることを決定的に示していないと判断、感染の可能性のあるドナーを選別することを拒否

血液銀行の医師たちは、性感染症クリニックに通う同性愛者について、B型肝炎抗体とAIDS症例の相関を示したCDCのデータの妥当性に疑問を呈した。

同様に、依然として食品医薬品局(FDA)の一部も血友病患者がリスク・グループのひとつであることに納得していなかった。

血液銀行組織は、食品医薬品局(FDA)の責任とされる領域にCDCが入り込んでいることに不快感を示し、米国赤十字社の幹部のメモには「CDCは、その存在を正当化するために、より大きな伝染病を必要としているため、信用できない」とあった。

一方、血漿メーカー各社は、自社製品からHVIが感染している可能性が高いというCDCの見解に同意した。そして、供給元の切り替えや、血漿中のウイルスを不活性化する新しい方法の導入に迅速に取り組んだ。しかし、古い製品も市場に出回ることになり、結局、市販の血漿で多くの人が感染することになった。

血液や血漿をドナーから取り出し、別の人に安全に供給することは複雑なプロセスが必要であり、赤十字社のような血液銀行は、その供給のほとんどすべてを自発的な献血から得ている。米国赤十字社(ARC)は、提供された血液を処理し、病院に配布し、病院は対価を支払う。

米国では毎年約1400万単位の献血が行われ、米国赤十字社が約45%、血液銀行が約42%、病院が11%、残りわずかな血液は輸入され、年間約360万人が輸血を受けている。

1970年代、血液の収集と輸血は、特に供給される血液に肝炎が蔓延しているなど、さまざまなリスクを抱えてた。1982年後半、血液製剤を通じて新しい病気が蔓延している可能性を示す証拠が出始めると、事態はより複雑になった。

血液銀行の科学者たちは、AIDSが血液供給に対する脅威であることを認めたが、そのリスクを測定することは困難であると判断。米国の監視システムは、AIDSのような潜伏期間の長い病気を特定するのに適していなかったと言われている。

参考・引用

1月7日

海外での出来事研究・医療関連のアイコン米国で初の女性のAIDS症例特に大事な記事

米国疾病管理予防センター(CDC)の「羅漢率と死亡率週報(MMWR)」が、女性のAIDSの最初の症例「後天性免疫不全症候群(AIDS)男性の性的パートナーの女性における免疫不全(ニューヨーク)」を報告。

記事では、AIDSと診断された男性の性的パートナーでだった女性2人の症例を紹介。

1人目のケースは、37歳の黒人女性が1982年6月に体重を減らし始め、その1ヵ月後に口腔カンジダ症とリンパ節の腫れを発症。検査の結果、彼女はニューモシスチス・カリニ肺炎に加え、リンパ球減少症、Tヘルパー細胞の枯渇を患っていた。彼女は静脈内麻薬の使用者ではなかったが、1976年からの性的パートナーに静脈内麻薬の乱用歴があったという。女性のパートナーは1982年11月にAIDSで死亡していた。

2人目の症例では、23歳のヒスパニック系の女性が1982年初頭にリンパ節の腫れを発症した。検査では、免疫グロブリン値の上昇、リンパ球減少、T-ヘルパー細胞数の減少、T-ヘルパー/サプレッサー細胞比の減少がみられた。彼女には、免疫抑制に関連する病気や治療の既往はなかった。1981年の夏以来、彼女の唯一の性的パートナーは、1981年にAIDS関連症状を発症したバイセクシャル男性であった。

参考・引用

1月9日

バラエティ番組「スーパーJOCKEY」放送開始
参考・引用

1月13日

海外での出来事研究・医療関連のアイコン企業の動き米国血液銀行組織、献血時の性的指向についての質問に反対する共同声明を発表

アトランタで行われた1月4日の2日後、米国血液銀行協会(AABB:American Association of Blood Banks)、米国赤十字社(ARC:American Red Cross)、地域血液銀行協議会(CCBB:Council for Community Blood Banks)らの血液銀行組織は、ワシントンDCでAIDS対策タスクフォースを結成、1月13日に共同声明を発表し、性的嗜好に関する質問を用いたドナーのスクリーニングに反対することを改めて表明。

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1月14日

海外での出来事研究・医療関連のアイコン企業の動き薬害エイズ関連全米血友病財団(NHF)の医科学詰問委貝会(MASAC)、血友病患者のAIDSの予防に関する勧告を発表

全米血友病財団(NHF)は会議で発表されたデータに震撼し、血液業界と会談、「リスクのあるドナー」に対する厳しいドナースクリーニングを行うよう圧力をかけた。

アルファ・セラピューティクス社は1982年12月にドナーのスクリーニングを開始し、他の米国企業もすぐにこれに続いた。

しかし、因子濃縮液に使われる血漿の20%以上は、性的嗜好に基づくスクリーニングを拒否した血液銀行から入手されていた。全米血友病財団(NHF)は、代理テストによるスクリーニングを強く求めましたが、成功しなかった。

全米血友病財団(NHF)のNHF医科学詰問委貝会(MASAC)は、選択的手術の延期、新生児や凝固因子への曝露経験のない患者への凍結沈殿物の使用など、凝固因子使用を減らすための多くの重要な勧告を発表。

ただ、NHFのMASACの一部の有力なメンバーは、エイズがせいぜい非常にまれな合併症であり、血液を介する病気であることにまだ納得しておらず、他の血友病患者は、かかりつけ医から別のアドバイスを受けない限り凝固因子濃縮液を使い続けるべきであるという妥協案を強要していた。

血友病治療医に対して

クリオ製剤の対象としては、4歳児以下の新生児、新しい患者で従来の濃縮製剤で治療されていない者、軽症例等。一方、濃縮製剤で治療してきている者について、使用継続。

濃縮製剤メーカーに対して

献血するドナーへのスクリーニング等の実施、濃縮製剤のウイルス不活化製法の開発努力、プール血漿の規模を小さくすることの実現可能性、供血スクリーニングを経ていない血漿の購入を回避すること等を勧告。

参考・引用

1月19日

初のGUI環境を持ったパーソナルコンピュータ「Lisa」がApple Computerから発売
参考・引用

1月26日

海外での出来事研究・医療関連のアイコン薬害エイズ関連CDCと赤十字の見解が対立、血液検査の遅れに

1月4日に行われた米国疾病予防管理センター(CDC)主催の血友病患者の日和見感染症に関する会議の後、米国赤十字社から血液供給製品のスクリーニングに強く反対する内容のメモが発表された。

米国赤十字社(ARC)の1月4日の会議後の社内メモで「CDCはAIDSをごまかし続けるだろう」と非難。

「CDCが存在を正当化するために、より大きな疫病が必要になってきていることは、長い間指摘されてきたことである。CDCが誤っているということを、血液供給業界が結束して明確に証明しない限り、一部の国民は血液供給業界が公共の利益に反しているように見るだろう」と書かれています。

1982年の中頃から後半にかけて、血友病患者のAIDS症例が初めて報告され、乳児での最初の輸血関連AIDS症例も含まれていたことから、ドナーのスクリーニング問題が発生した。

そのため、1982年12月から1983年12月にかけて、血液や血液製剤によるAIDS感染の脅威を減らすため、血液供給業界が新しいドナーのスクリーニングと、供給延期を決めるための2つの重要な会議が開催された。

1つは、1月4日のCDCが招集した公衆衛生局の会合である。このとき、血液供給業界は、血液供給源に感染性物質が存在する可能性に関するデータを初めて入手した。CDCの科学者たちは、血液銀行に対し、特定のドナー・スクリーニング対策(ドナーにリスク行動について質問する、献血を一連の検査にかけるなど)を実施するよう勧告した。

しかし、CDCのデータの妥当性に難色を示し、CDCがAIDSに関する信頼できる情報源ではないと。会議の後、米国赤十字の職員は、CDCからの勧告に抵抗するよう同僚に勧めることになる。

血液銀行がドナースクリーニングの実施に抵抗したことは、AIDSの初期段階での感染抑制についての重大な失敗と見なされるようになった。

もうひとつは、1983年12月15日から16日にかけて、米食品医薬品局(FDA)の血液製品諮問委員会が、HIVの代替マーカーテストでのあらゆる可能性を検討する会議の開催である。この会議は、CDCが血液供給の安全策を講じる手段として、血液スクリーニングを実施する必要性を訴える2度目の試みであったという点で重要な会議だった。

この2つの会議が開催された間の1年間は、血液銀行はスクリーニング無しで献血を集め続けていた。

参考・出典

2月4日

カレン・カーペンター死去
参考・引用

2月5日

横浜浮浪者襲撃殺人事件
参考・引用

2月6日

海外での出来事報道・マスコミの対応ニューヨーク・タイムズ紙、AIDSに関する初の詳細な記事

ニューヨーク・タイムズ紙が、AIDSに関する初の詳細記事「A New Disease's Deadly Odyssey(新たな病の死のオデッセイ)」を発表。

この記事では、「今世紀で最も毒性の強い伝染病」であるウイルスが、「大都市の同性愛者コミュニティ」で蔓延し、血友病患者の死因の第2位を占めるようになったことを説明。

米国疾病管理予防センター(CDC)のAIDS対策本部長であるジェームス・W・カラン博士は、ニューヨーク・タイムズ紙の記者に対し、AIDSはアメリカの主流に移行しつつあり、科学者はいまだに病気の原因や蔓延を止める方法を特定できていないと語った。

「AIDSの発生率は過去1年間でほぼ3倍になり、週に約7件程度だった新規感染者数が週に20人以上になっている」と、カラン博士は最近発表されたデータを引用し、「1982年12月にCDCが受け取ったAIDS患者の報告数は92件で、前月に比べ約3分の1増加している」と述べている。

またこの記事では、CDCがAIDSの原因を特定するための苦心を紹介し、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、マイアミの4カ所の発生地の焦点を当て、20名の常勤の医師と、80名の非常勤の専門家の協力で研究が行われていることを紹介。

研究者たちは、この病気の広がりを広う追跡することができると、記事は述べている。

1981年の春から、ニューヨーク市の臨床医たちは、通常は地中海沿岸地方の高齢男性に見られる、極めて稀な癌であるカポジ肉腫を発症している、驚くほどの数の若い男性患者を見かけるようになった。

ほぼ同時に、ニューヨーク市内の感染症専門医は、別の希少疾患であるニューモシスチス・カリニ肺炎の急増を指摘していた。毎週、市衛生局が主催する医師が最も困惑している症例を発表する市全体の感染症会議で、医療関係者がこれらの症例について情報を共有するようになった

1981年半ば、米国疾病管理予防センター(CDC)はこれらの異常な症例を調査するための特別タスクフォースを結成し、6月と7月に「羅漢率と死亡率週報(MMWR/Morbidity and Mortality Weekly Report)」に最初の調査結果を発表した。当時確認された116人の患者のうち、約30%がカポジ肉腫、約50%がニューモシスチス・カリニ肺炎、約10%がその両方であった。残りの10%は、通常、免疫抑制患者にも起こる異常な感染症を持っていた。

比較の結果、13人の症例者のうち9人に共通の性的接触者がいたことが判明した。これがいわゆる「ロサンゼルス・クラスター」と呼ばれるAIDS患者である。その後、ロサンゼルスとニューヨークの間にミッシング・リンクが発見された。ニューヨークの患者が、ロサンゼルス・クラスターの4人の男性とAIDSを発症したニューヨークの4人の男性も性的パートナーであったことが特定された。

広く読まれている記事では、活動家のラリー・クレイマーの言葉を引用した。「ゲイでニューヨークに住むということがどういうことか、あなたにはわからないでしょう。戦時中のようなものだ。いつ爆弾が落ちてくるかわからないんだ。」。

クレーマーは、この1年半で18人の友人をAIDSで失い、さらに12人が重い病気にかかっていると語った。「医師や精神科医は、新しい交際の方法を学ぶよう地域社会に懇願しています。彼らは、亡くなった人たちの名において、デートの仕方を学べと懇願しているのです」とクレイマーは言う。

またこの記事では、全米の血液供給が安全かどうかという問題にも触れている。当時、CDCはAIDSに感染した血友病患者の報告を計8件確認し、うち6人が死亡している。

米国血液銀行協会の輸血感染症委員会の委員長で、エール大学医学部の実験医学教授であるジョセフ・ボーブ博士は、「私は心配で心配で仕方がない」と言う。「しかし、科学者として、私は証拠を見なければならない。そして、その証拠は、普通の輸血はAIDSを感染させないというものです。」

ボーブ博士は、AIDSが確認されてからの2年間に輸血を受けた人の数が2000万人であることを挙げ、「血液によって広がるAIDSの流行はない」と主張した。

CDCのAIDS部門のディレクターであるブルース・L・エヴェット博士は、「リスクは低いように見えるが、大幅に増加する可能性がある」と付け加えた。

記事が掲載された時点で、CDCはAIDS・ウイルスに感染した958人の報告を受けており、365人がすでに発病していた。

参考・引用

3月

海外での出来事国や政府の対応(海外)人物カリフォルニア州のAIDS政策をリードしたスタン・ハデン

カリフォルニア州上院議長代理デイビッド・ロベリの事務所のスタッフだった26歳のスタン・ハデンが、カリフォルニアAIDS諮問委員会の設立と州全体のAIDS教育への資金提供の仕組み作りを主導。

中でも、カリフォルニアAIDS諮問委員会を設立する上院法案910号の成立を監督。この法案には、50万ドルの初期予算が含まれており、保健サービス省を通じて、資金を切実に必要としていた州のコミュニティ・プログラムに割り当てられた。

このプログラムに割り当てられた金額はわずかだったが、州が財政危機のため多くの医療プログラムが予算削減に苦しんでいた時期に、少しでも資金を確保できたことが大きな成果だった。

1983年3月、ロベリ上院議員は上院法案910号のメリットをアピールするため、「AIDSは国家的緊急事態である」とマスコミに語った。

以前は健康だった同性愛の男性、ハイチからの移民、静脈注射の薬物使用者の間で流行しているが、この病気にかかった人の6%は、同性愛者でも静脈注射の薬物使用者でもハイチ人でも血友病患者でもない。

当時、議員がAIDSについて教育を受けるのは珍しいことだった。議員がAIDS対策が急務であることを認識したのは、ハデン氏の働きかけとアドボカシー、そして選挙区がハリウッド地区であったことが大きく影響していると思われる。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校の臨床助教授だったスティーブン・モーリンによって1986年に出版された「What to Do About AIDS(AIDSにどう対処するか)」の「Public Policy and Mental Health Issues(公共政策とメンタルヘルス問題)」の章によると、ロベリ上院議員の法案は、ハデンによって調査・起草されたもので、AIDS危機の初期にカリフォルニア州がとった最初の重要な行動だった。

同じ頃、カリフォルニア州議会は、AIDS研究に取り組むカリフォルニア大学への290万ドルの追加資金を推し進めた。サンフランシスコを選挙区とするウィリー・ブラウン下院議長は、AIDSの原因究明に取り組む大学の研究者たちと会合を持ち、カリフォルニア大学の予算への割り当てを発表。

スティーブン・モーリン談

上院法案910号は、非常に多くのアドボカシーを必要とした。1983年4月、この法案を支持するために州都を訪れた際、1982年12月にカポジ肉腫と診断された友人で精神科ソーシャルワーカーのゲイリー・ウォルシュと一緒になった。AIDSは最近「ニューズウィーク」誌の表紙を飾ったが、私たちが会った議員の半数以上はAIDSという言葉を聞いたことがなかった。

研究の初期のブレークスルーの多くはカリフォルニア大学から生まれ、この努力によって資金が供給された。

例えば、AIDSの原因となるレトロウイルスの発見は、カリフォルニア大学デイビス校で行われたものです。その後、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のジェイ・レヴィの研究室で、AIDSの原因となるレトロウイルスが分離された

1985年、ハデンは地域のHIV/AIDSプログラムとサービスに協調的なアプローチをもたらす州法のスタッフとして活躍。カリフォルニア州上院法案1251号は、1986年にAIDS医療プログラムに約1700万ドルの資金を割り当て、さらに、州は連邦予算のうち500万ドル以上を研究プロジェクトと疫学調査に充てた。

立法スタッフたちは、ハデンをカリフォルニアの「非公式なAIDSの皇帝」とみなした。彼は、サクラメントでゲイであることを公言している数少ない人物の一人だった、とジャーナリストのカレン・オカムブは後に『プライド』に書いている。カリフォルニア州議員の事務官や政治家の側近の多くは、自分の性的アイデンティティを公にすることで職業上のキャリアが絶たれることを恐れ、クローゼットに閉じこもったままであった。また、LGBTであることを自覚している選挙関係者や候補者も、まさに破滅の現実を前にして沈黙を守っていた。

参考・引用

3月4日

海外での出来事研究・医療関連のアイコンCDCが「4Hの病」と発表特に大事な記事

CDC(米国疾病管理予防センター)羅漢率と死亡率週報(MMWR)で、AIDSの「最もリスクが高い」と認識している4つのグループ
○複数の性的パートナーを持つ同性愛男性(Homosexual)
血友病患者(Hemophiliacs)
○静脈性薬物のヘロインなどの乱用者(Heroin)
○特に過去数年以内に米国へ入国したハイチ人(Haitians)
の頭文字を取って、4つのHと特定して発表した。

これ以降、医学論文や報道で引用され、これらのグループに属する人々には、汚名が着せられることになった。

ゲイ・コミュニティの多くは、この情報を元々は農業青年グループを指していた「4Hクラブ」と呼び、再定義した。

「4Hクラブ」とは、将来の農業を支える若い農業従事者が中心になって組織され、さまざまな活動を行うグループを指していた。農業の改良と生活の改善に役立つ腕(Hands)を磨き、科学的に物を考えることのできる頭(Head)の訓練をし、誠実で友情に富む心(Heart)を培い、楽しく暮らし、元気で働くための健康(Health)を増進するという、同クラブの4つの信条の頭文字を総称したものだった。

この報告書が発表された当時は、米国の研究者たちはまだこの病気に困惑し、患者の免疫力低下は、血液を介して人から人へと受け継がれる生物学的物質が原因である可能性を探っていた。

CDCはこの報告書の中で、「入手可能なデータは、AIDSの基礎となる免疫調節の深刻な障害は、伝染性の病原体によって引き起こされることを示唆している」と述べている。

さらに、リスクの高いグループのメンバーには、血液や血漿の提供を控えるよう勧告している。

「原因が不明である限り、AIDSの自然史を理解して予防策を講じることは難しい。しかし、上記の推奨事項は、AIDSに感染するリスクを低減するための慎重策である。」と述べている。

参考・引用
海外での出来事研究・医療関連のアイコン国や政府の対応(日本)薬害エイズ関連疾病管理予防センター(CDC)、米食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所(NIH)、予防対策の共同勧告を発表

疾病管理予防センター(CDC)は羅漢率と死亡率週報(MMWR)で、「AIDSが感染した血液や血液製剤を介して感染しており、出血性疾患患者や血液製剤を使用する人々全体が感染の危険にさらされているとする」と発表し、米食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所(NIH)と合同で、血液供給の安全性を保つために直ちに講じるべき措置を勧告。

米食品医薬品局(FDA)は、凝固因子の熱処理のライセンスの承認を開始。

米国の複数のメーカーが、熱処理した凝固因子の開発を開始し、3月21日にはトラペノール社の加熱第VIII因子製剤を承認。

AIDSの発生状況及び予防対策を勧告(CDC・FDA・NIH)
発生状況
81年6以降1200例以上が報告され、450名以上が死亡
診断後1年以上経過の場合、致死率60%以上
血友病患者は11名
血友病症例について、血液製剤又は血液が原因のようにみえる
AIDS因子を伝播する潜在的能力のある者が現在知られているAIDS症例数よりかなり多い可能性を示唆
数か月~2年の「潜伏期聞」の存在及び今認識されている臨床的疾病以前に伝播していることが考えられる
AIDSの危険性が増大しているグループの1つとして血友病患者が挙げられる
予防対策のCDC・FDA・NIH共同勧告
性的接触の回避
ハイリスク・グループの供血の回避

ハイリスク・グループ:AIDSの症候又はそれを疑わせる兆候がある者、AIDS患者の性的パートナー、複数のパートナーを持つ性的に活動的な同性愛及び両性愛男性、ハイチから米国への移民、現在又は過去の静注薬物濫用者、血友病患者並びにAIDSの危険が増大している者の性的パートナー

血漿、血液のスクリーニング方法の評価の研究等を行う
参考・引用

3月14日

海外での出来事市民運動など民間の動き人物ラリー・クレイマー、「1,112 and Counting」を発表

AIDS活動家のラリー・クレイマーは、AIDSがゲイ・コミュニティに与える影響について、ニューヨーク・ネイティブ紙に辛辣な評価を発表。このエッセイ「1,112 and Counting」で、病気や瀕死のゲイに対する政府の支援の欠如や、AIDSの原因究明における科学の進歩の遅さに対して、そのコミュニティが怒るよう必死に訴えた。

タイトルの「1,112 and Counting(1,112とカウント中)」とは、この病気が流行り始めた頃には41人しかいなかった重篤な後天性免疫不全症候群の症例が、執筆時には1,112例あり、死者も猛烈な勢いで増えていることから付けられた。

もしこの記事があなたを脅かさないなら、私たちは本当に困ったことになります。この記事を見て、怒り、憤慨し、激怒し、そして行動を起こさなければ、ゲイの男性にはこの地球上に未来はないかもしれない。私たちの継続的な存在は、あなたがどれだけ怒ることができるかにかかっているのです。

このエッセイは、クレイマーが生涯をかけて取り組んできた活動やアドボカシーの始まりにすぎなかった。その後、AIDS危機を初めて本格的に描いた戯曲「ノーマル・ハート」を執筆し、公衆衛生政策やHIV/AIDSに対する人々の意識を変えたと広く認められている抗議団体「ACT UP」を設立することになりました。

アンソニー・ファウチ博士は語った。

ラリーがこの国の医療を変えたことは疑う余地がない。そして、より良い方向への変化を促した。アメリカの医学には2つの時代がある。ラリー以前とラリー以後だ。

3月30日には、新たなゲイ雑誌で隔週刊のニュース雑誌「Frontiers」は表紙に「1,112 and Counting」を掲載。

病気で亡くなった20人の友人の名前を列挙した後、クレイマーは「この言葉が印刷される頃には、もう一人死んでいるだろう」と書き、最後に「市民はこの状況に対抗するためにボランティアが必要だ」と訴えた。

frontiers誌表紙
Frontiers誌表紙
(引用:"tumblr:lgbt-history-archive"

アメリカでは1983年末までに、2,807人のHIV感染者とAIDS患者、および2,118人の死者が報告された。

参考・引用

3月21日

海外での出来事国や政府の対応(海外)企業の動き薬害エイズ関連FDA、トラペノール社の加熱第VIII因子製剤を承認特に大事な記事

3月4日の血液供給の安全性を保つために直ちに講じるべき措置の合同勧告を受け、食品医薬品局(FDA)は、凝固因子の熱処理のライセンスの承認を開始し、米国の複数のメーカーが、熱処理した濃縮因子の開発を開始。

3月21日にはトラペノール社の加熱第VIII因子製剤を承認。

参考・引用

3月22日

福岡市営地下鉄、室見〜姪浜間、中洲川端〜博多駅間開業、国鉄筑肥線との相互直通運転を開始
参考・引用

3月24日

海外での出来事国や政府の対応(日本)薬害エイズ関連FDA、血漿採集施設に対し「血液提供者からのAIDS伝播のリスクを減少させるための勧告」

食品医薬品局(FDA)は、輸血用の原血漿とヒト血液を採取するすべての施設と血漿誘導体の製造業者に対し、エイズ感染の危険性が高い可能性のある人による血液または血漿の提供のリスクを減らすために取るべき措置を通知。

これらのステップには、AIDSであることが分かっている、あるいは疑われているドナーから採取された製品を隔離し、処分するための標準作業手順を実施することが含まれる。

また、FDAは血液・血漿採取施設に対し、エイズのリスクが高い人には提供を中止するよう通知する教育プログラムを確立し、ドナーを選別する担当者にエイズの初期症状を認識させる訓練を行うよう助言。

また、AHF濃縮液中のウイルスを不活性化するための新しい熱処理を承認したと発表。この処理は、血友病患者をB型肝炎から守り、おそらくAIDSからも守るのに役立つとされた。

参考・引用

3月31日

TVアニメ「みゆき」(あだち充原作)放送開始
みゆき(漫画)(ウィキペディア)

タイトルや解説等の中で差別的な表現が含まれる場合がありますが、当時のHIV/AIDS、セクシュアルマイノリティなどに対する状況を知っていただきたいと思い、そのままの表現を使っています。