ケンちゃんとリボン先生のHIV・エイズ基礎講座

タイトル動画

「もしHIV陽性だったら?」編

Lesson 4-3U=Uって?

ケンちゃんはU=Uって、
知ってる?

えっ?
新しい顔文字?

違う、違う!
HIVのお話ね!

HIVの?

HIVに感染していても、治療によってウイルスが検出限界未満の状態を半年以上続いている人は、セックスで他の人へは感染しないというメッセージね!

えぇっ!
それほんと???

そう、感染リスクゼロね!
U=Uは、Undetectable=Untransmittableの頭文字をとったもの。

恐ろしく長い英単語!
無理だわ!

翻訳すると「検出できない場合は感染しない」という意味ね!

HIVがいなくなるってこと?

残念ながら前にも言ったように、今の医療じゃ身体からHIVを完全に排除することはできないけど、HIVの服薬治療を始めると約半年くらいで血液検査でもHIV検出できないくらいに減ってしまうんだ。この状態が検出限界未満ね。

ふむふむ!

U=Uというのは、この検出限界未満の状態半年以上続いている人からは、セックス他の人には伝染るリスクゼロという研究結果に基づいたメッセージなんだ。

へ〜っ!?
そうなんだ!

U=Uの根拠って?

まず2,000年に、ウガンダ415組HIV陽性と陰性男女カップルで、ウイルス量1,500コピー/mLの場合、カップル間に感染が1例もなかったという報告があったんだ。

ふむふむ…

それから、2011年にはHPTN052試験という大規模調査の報告があったんだ。

この調査はアメリカ、アジア、アフリカ各国の主に男女の、同じようにHIV陽性と陰性カップル1,763組を、即時治療群治療待機群とに分けて調べたんだ。
すると、即時治療群で陰性パートナーへの感染は、1例しかなかったそうなんだ。

1例!

その1例は、治療開始して間もなく感染してしまったからなんだって。
その後5年以上調べて、毎日の服薬を守って、6ヶ月以上検出限界未満をキープした陽性者からの感染はゼロだったんだ。

結局100%って感じ!?

まだあるよ!
2016年PARTNER12019年PARTNER2という研究結果がイギリスから発表されたんだ。

この研究報告は、もともと生セックス派HIV陽性陰性の、972組のゲイ男性カップル516組の男女カップルで調査で、ゲイ男性カップルの77,000回男女カップルの36,000回コンドーム無しで挿入アリのセックスを調べたら、検出限界未満の陽性者からの感染は1例もなかったというものね。

す、すごい調査!!

同じようなOpposites Attract研究という報告が2017年オーストラリアからもあって、343組のゲイ男性カップルでの17,000回のコンドーム無しのアナルセックスでも検出限界未満を維持している陽性者からの感染はなかったそうなんだ。

まだあったのね…

全部合わせて約13万回のコンドーム無しのセックスで、検出限界未満をキープしている陽性者からの感染は「ゼロ」だったということね!

すごい説得力!!

証明するには充分な数ね!
その後、U=Uのメッセージは世界に広がって、国連合同エイズ計画(UNAIDS)米国疾病管理予防センターなどの国際機関をはじめ、各国のエイズ関連学会や団体が支持を表明してるんだ!

世界で認められているんだね!!

メッセージの本当の目的は?

U=Uメッセージの本当の目的って分かる?

メッセージの本当の目的?

HIVは今でも差別や偏見が根強く強く残っているんだ。

それで、HIV/エイズへの偏見や差別を無くそうというのが最大の目的ね!

なるほど!

一緒にいるだけで感染してしまうと思って排除してしまったり、性感染症だからって軽蔑したり、HIVに対して間違った認識を持っている人がまだまだ多いんだ!

最近でも、病院で治療を断られたり、職場にHIVの感染が知れたことで職を追われたり、内定を取り消されたりする事件も起きているんだ。

それ、ひどいね!

まだそんな状況だから、HIVの感染が分かると人生が終わったと絶望したり、自己嫌悪したり、人にうつしたくないからと出会いを避けて孤立してしまったりと苦しんでる人も多いんだ。

だからまずはHIV陽性者に向けて、治療することで日常生活はもちろん、セックスでの感染の心配なく生活できるって、とても大事なメッセージなんだ!

そっか!
U=Uのメッセージが広がったら、もしHIVに感染しても恋愛やセックスを諦めなくてもいいって、なんか希望が湧く!

そして社会的に認知されればHIV陽性者が不利益を被ることもなく、これまでHIVに感染したらお終いだと思って検査を避けていた人も、受ける気になるかもしれないし、引いては感染の流行を減らしていけるって話ね!

そっか!
自分の感染を知らない人も検査に行きやすくなると、治療で他の人に感染しなくなるから減っていくんだ!

そう!
究極の目標はそこね!

他の性感染症には通用しない!

それでさぁ、治療して検出限界未満をキープしてたら、HIV陽性でもナマのセックスばんばんできるんだ!

ケンちゃん、ちょっと待った!
これはあくまでもHIVに限ってのこと!

へっ?

他の性感染症には、まったく関係ない話ね。

というと?

U=Uはウイルス量をコントロールできている陽性者はHIVを人に伝染さないってだけの話で、ナマだと梅毒やクラミジアなどの他の性感染症は伝染ります!

つまり?

いくらHIVが検出限界未満でも、他の性感染症が伝染らないようにセーファーセックスは必要だってことね!

そっかぁ!
でも、HIVに感染してもちゃんと治療してたら、恋もセックスも諦めなくていいって話ね!
なんかホッとする!

そう、ただしコンドームはお忘れなくね!

今回のおさらい!
  • U=Uは、Undetectable(検出限界未満)=Untransmittable(感染しない)の略。
  • U=Uは、適切な治療によってウイルス量検出限界未満に維持できているHIV陽性者は、セックスで人に感染させるリスクはゼロであるというメッセージ。
  • 約4,000組のHIV陽性+陰性カップルによる約13万回のコンドームは無しのセックス調査リスク「0」を証明
  • 国連合同エイズ計画はじめ、多くの世界のエイズ関連学会や団体が支持。
  • 今もHIV陽性者は偏見差別を恐れて苦しんでいる。
  • 目的はHIV/エイズへの偏見や差別をなくすこと。
  • 偏見や差別がなくなることで、検査を促進でき、最終的にHIVの流行を終息させる。
  • U=Uは、他の性感染症もリスクが無くなることではないので、コンドームを利用するなどセーファーセックスは必要
U=Uって?
Lesson 4-3